J-Law°

司法試験・予備試験受験生やロー受験生のモチベーション維持のために、定期的に問題の検討をしていきます。

検討課題13:問題編~財産権の基本問題~

検討課題10で財産権について取り上げました(https://j-law.hatenablog.com/entry/2020/06/12/224903)。

ただ、この問題は司法試験レベルの問題で、かなり難しかったはずです。

なので、今回は財産権の基本問題を検討したいと思います。

この基本問題をLv.1とすると、平成29年度予備試験がLv.2、検討課題10がLv.3という位置づけになり、学習がしやすいと思います。

なお、問題は、『憲法 解釈論の応用と展開』第14回問題の改題です。

 

さて、いきましょう!

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【設問】

 O山は、かつてO部落の入会地であったが、明治時代の町村制の実施とともに公有財産となり、現在ではY市が所有するとともに、旧O部落に住む人々の採草採薪の権利が、旧慣使用権として認められてきた。現在でも、農業等を営む旧O部落の住民は、この地域において、薪炭、用材、肥料用の落葉等を採取し、それらを農業や日常生活に役立てていた。

 ところが、Y市は最近、荒廃の目立つO山の開発を進める方針を立てている。具体的には、レジャー施設の建設を行い、山と一体となったアドベンチャーランドを建設する予定である。これにより、多くの観光客が見込まれ、経済的な発展をすることができる。アドベンチャーランドの建設予定範囲が旧O部落に住む人々の活動領域の一部と重複していたことから、旧O部落の人々とY市が対立することになった。

建設説明会において、Xをはじめとする旧慣使用権者の意見を訊ねたところ、使用権の廃止に反対意見が多かった。Xらは「ここは先祖代々、私たちが大切に守ってきたお山で、よそ者に荒らされたくない」、「お山の恵みは、全て、お山を守る私たちのものだ」、と主張するばかりで、Y市の説得が成功する見込みはなかった。そこで、Y市議会の決議により一方的に使用権を廃止した(地方自治法238条の6)。

 Xは、自分たちの同意なく使用権を廃止したことは、憲法29条1項、2項に違反すると考えている。

 Xから相談を受けた法律家として、Y市からの反論も踏まえて、当該事案における憲法上の問題について考察せよ。

 

〔参考資料〕

地方自治法 238 条の 6 旧来の慣行により市町村の住民中特に公有財産を使用する権利を有する者があるときは、その旧慣による。その旧慣を変更し、又は廃止しようとするときは、市町村の議会の議決を経なければならない。

2 前項の公有財産をあらたに使用しようとする者があるときは、市町村長は、議会の議決を経て、これを許可することができる。

 

 

知識の整理は、検討課題10検討編②(https://j-law.hatenablog.com/entry/2020/06/14/190223)でやっているので、ここを見直してください! 

なので、検討編1回でこの問題は終わります!では、また~。

検討編⇒https://j-law.hatenablog.com/entry/2020/06/26/181824