J-Law°

司法試験・予備試験受験生やロー受験生のモチベーション維持のために、定期的に問題の検討をしていきます。

検討課題14:問題編~手続保障~

まだ検討していない分野の1つが手続保障の領域です。

基本的には、成田新法事件判決や川崎民商事件判決の規範を暗記して、比較衡量すれば問題ないと思います。

近時の司法試験で出題もされているので、当然に知っておくべき分野となりました(というか、令和元年度みたいに問題が作りやすいんですよね。)。

実際の判例の事案をもとにした問題を基本問題として、司法試験の問題を解いてみるといいと思います。

 

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【事例】

 逃亡犯罪人引渡法(以下「法」という。)は、次のように、犯罪人引渡手続を定める。まず、請求国から引渡請求がなされると、法務大臣は、東京高検検事長に対して、引渡請求事由の存否について、東京高裁に審査請求すべき旨を命じる(法4条)。次に、東京高裁が、審査の結果、犯罪人を引き渡せる旨の決定(法10条1項3号)をすると、法務大臣は、引渡が相当であるか判断した上で、引渡しを命じる(法14条1項)。なお、法35条1項は、同法の処分について、行政手続法3章の適用を排除する。

 他方、日本とA国で締結された犯罪人引渡条約(以下「条約」という。)は、条約2条において引渡犯罪を定めた上で、「引渡しを裁量により拒むことのできる事由」(条約4条)を規定する。そして、この例として、犯罪人の「個人的な事情にかんがみ、引渡を行うことが人道上の考慮に反する……場合」(条約4条⒞)などを挙げる。

 Xは、2008年12月、A国の裁判所から、日本の業務上横領罪に該当する罪で、懲役3年(執行猶予4年)等の確定判決を受けた。その後、Xは日本に出国するが、日本滞在中の2012年11月、A国の裁判所によって、執行猶予宣告を取り消される。2013年6月、A国から日本にXの引渡請求がなされたことを受け、2014年5月21日、東京高検は、東京高裁に審査請求をしたところ、東京高裁は、Xを引き渡せる旨の決定をした。

 同年7月25日、法務大臣Yは、東京高検に対し、XをA国に引き渡すことを命じ、その旨を通知した。そこで、Xは、Yを被告として、本件引渡命令の取消訴訟を提起した。

 

【設問】

 Xとしては、①法35条1項の規定が、憲法31条に反するとして違憲であると主張する。また、②Xは、A国の医療水準では治療不可能な病気の治療のために日本を訪れているとして例外的な個人的事情(条約4条⒞に該当し得るものである。)があり、法35条1項の本件事案への適用は違憲であると主張する。Xの主張は認められるか。

 なお、Xの②で主張する個人的事情は、東京高裁の審査対象ではない。

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明日は検討編①として知識の整理をします。

それを前提に検討編②として本問の検討をしたいと思います。

検討編①⇒https://j-law.hatenablog.com/entry/2020/06/28/190323