J-Law°

司法試験・予備試験受験生やロー受験生のモチベーション維持のために、定期的に問題の検討をしていきます。

2020-06-01から1ヶ月間の記事一覧

検討課題15:問題編~思想良心の自由の基本問題~

思想良心の自由はやや分析的すぎる考え方をしているし、 実際のところ、書きにくいと感じているので、避けていましたが、 検討資料としては提供できると思います。 問題は、憲法事例演習教材Case25です。 ※この問題集は網羅性があるという点では非常にいい…

検討課題14:検討編②~本問の検討~

本問は、最2小決平成26・8・19判時2237号28頁[平成26年度重判12](逃亡犯罪引渡法35条事件)を題材としました。まずは、判旨を見た上で、本問との違いを確認し、解説を加えていくことにしましょう。 Ⅰ 判例の分析 1 平成26年決定の判旨 「逃亡犯罪人引渡…

検討課題14:検討編①~知識の整理:手続保障~

人身の自由には、実体的権利と手続的権利の2つの側面に分けられます。それぞれ見ていきましょう。 Ⅰ 知識の整理1:実体的権利としての人身の自由 1 憲法18条による保障 実体的権利としては、まず、憲法18条が、奴隷的拘束からの自由や意に反する苦役から…

検討課題14:問題編~手続保障~

まだ検討していない分野の1つが手続保障の領域です。 基本的には、成田新法事件判決や川崎民商事件判決の規範を暗記して、比較衡量すれば問題ないと思います。 近時の司法試験で出題もされているので、当然に知っておくべき分野となりました(というか、令…

検討課題13:検討編~本問の検討~

1 入口の特定:原告の主張 Xは、同意なく旧慣使用権を廃止したことが憲法29条1項、2項違反との主張をしている。XはY市を相手に、住民訴訟(地方自治法242条の2第1項1号、2号)を提起し、使用権の廃止決定の取り消しを主張していきます。この中で、財産権…

検討課題13:問題編~財産権の基本問題~

検討課題10で財産権について取り上げました(https://j-law.hatenablog.com/entry/2020/06/12/224903)。 ただ、この問題は司法試験レベルの問題で、かなり難しかったはずです。 なので、今回は財産権の基本問題を検討したいと思います。 この基本問題をLv…

検討課題12:検討編③~私見:人格的生存に不可欠でない自由~

Ⅲ 私見の展開(設問2) 問題形式に最大の注意を払うべきです。すなわち、「設問1で述べられた主張の当否について、あなた自身の見解を論じなさい」という訊き方であることから、被告の反論を指摘する必要はありません。主張・反論・私見型で各答案は、減点…

検討課題12:検討編②~原告の憲法上の主張~

Ⅱ 原告の主張(設問1) 1 入口の特定 まず、入口において、違憲の対象および条文・権利の選択、具体的自由の設定を確認しておかなければ、説得的な論証ができなくなってしまいます。頭の中でどのようなことを意識するかをざっと確認してから中身の検討に入…

検討課題12:検討編①~問題分析の仕方~

Ⅰ 問題分析の仕方 受験において問題の分析は重要です。分析の仕方はいろいろあります。出題される論点としてどのようなものが予測されるかという観点からの分析は多くの受験生がやるでしょう。しかし、このようなピンポイントの予測は果たして有効でしょうか…

検討課題12:問題編~慶應ロー2017年度憲法~

さて、憲法の検討に戻ることにします。 今回は、慶應ロー2017年度憲法の問題を検討していきましょう。 この問題は結局、入口の特定のうちどの権利として位置づけるのか、 どうやって最後は書けばいいのかがイマイチわかりにくい問題だと思います。 この…

検討課題11:検討編③~知識の活用~

Ⅳ 知識の活用―平成30年度予備試験〔一般教養科目〕の検討 知識は得るだけで、活用できなければ意味がありません。いま、新たな発見をした君たちは、自らの知識をアップデートさせ、そのアップデートさせた規範としての知識で問題を見ることができるのです。…

検討課題11:検討編②~知識Ⅱ:3つの社会~

3 社会とはなにか―共同体の誕生 今までの話は、個人のレベルでの話でした。これを社会レベルで語ってみます。社会とはなにか。それは、同じ規範を内面化した個の集合体です。例えば、我々は日本語という文化的規範(言語というルール)を内面化し、日本語を…

検討課題11:検討編①~知識Ⅰ:規範と相互交渉~

Ⅰ 概要 法務省は、「出題範囲は,人文科学,社会科学,自然科学とするが,思考力,分析力,表現力等を判定できる出題をすることとし,専ら知識の有無を問う出題はしないものとする。」としています。 しかし、実際に問題文を見ればわかりますが、相当文章を…

検討課題11:問題編~予備試験論文式【一般教養科目】対策~

「予備試験の一般教養科目の対策なんてできない!」 そんなはずありません。ちゃんと分析すれば、できます。 一般教養科目で落ちる受験生もいるというのが、受験界通説です。しかし、一般教養科目がFでも合格している人がいます。この事実から、法律科目(7…

interval : 【宣伝】読み解く合格思考〔憲法〕改訂版でます!

どーも。 ついに、ついに発売されます。 読み解く合格思考【憲法】改訂版! ※詳細は、辰巳法律研究所のブログを参照!⇒http://blog.livedoor.jp/accstatsumi/archives/9623650.html 私の受験時代の憲法の対策といったら、 この本の名前が挙がるくらい素晴ら…

検討課題10:検討編③~本問の検討~

検討編②(https://j-law.hatenablog.com/entry/2020/06/14/190223)で整理した知識を、本問にあてはめに考えてみましょう!ここが一番、難しい。 Ⅴ 財産権に関する本問の検討 まず、本条例3条1項による規制が、既得権型か制度形成型かの特定から始めます。確…

検討課題10:検討編②~知識の整理:財産権~

Ⅳ 知識の整理―財産権 本条例3条1項は、所有権に基づく処分といての転売を禁止しています。そのため、財産権(29条1項、2項)との関係で問題になります。財産権は、国家権力に先行して存在しているわけではなく、国家によって制度の形成がなされて初めてその…

検討課題10:検討編①~条例制定権の限界~

Ⅰ 出題の趣旨 特定興行入場券の不正転売の禁止等による興行入場券の適正な流通の確保に関する法律(以下「本法」という。)が令和元年6月14日に施行されました。本問では、本法よりも過剰な規制をしようとする条例の合憲性を問うオリジナル問題です。問題形…

検討課題10:問題編~オリジナル問題~

お待たせしました! 昨年の司法試験の形で、財産権の問題いきましょう! 始めにいっておきます。これ、むずいです。 書いてほしいことはすぐわかるけど、 その個別具体的検討において、めちゃくちゃ考えなきゃいけない。 そういう意味でむずい問題です。 委…

interval : 司法試験予想問題民法【検討編】

作成当時の”出題趣旨”を掲載します。 改正民法の影響は、設問1が一番大きな影響を受けていると思います。この点については、関連条文を踏まえて検討をお願いします。他分野に渡る法律問題を問う最近の傾向の問題になります。 設問2は、代理権の濫用の根拠…

interval : 司法試験予想問題民法【問題編】

どーも。 いま、最終段階の作業がゴリゴリ来ているのと、刑裁修習が裁判員裁判というのとで、めちゃめちゃ忙しくなってしまっています。 本来であれば、財産権のオリジナル問題を出そうと思ったのですが、まだ、検討資料となる原稿ができていないので、inter…

検討課題9:検討編②~ノンフィクション「逆転」事件~

Ⅲ 大枠となる判断枠組み―比較衡量 個人の情報の公開が権利侵害にあたるかどうか、特に表現の自由(憲法21条1項)ではその判断枠組みについていくつか判例があります。いずれの判例も、表現の自由vsプライバシーという二つの権利を天秤にかけ、判断しており、…

検討課題9:検討編①~憲法上の権利の制約~

【出題趣旨】※各自で参照してください! https://www.waseda.jp/folaw/gwls/assets/uploads/2019/10/03_kenpou_2020shushi.pdf Ⅰ 入口の特定 「入口」とは、当事者の生の主張から特定された具体的自由の設定・権利と条文の選択及び違憲の対象の選択です。い…

検討課題9:問題編~早稲田ロー2020年度~

修習が完全に再開する関係で、そろそろ時間がなくなってきていますが、 検討課題10まではやりたいと思っています! さて、今回は、プライバシー関係の問題を検討課題に探していたら、 後輩から添削の依頼が来て、ちょうどよかったので…。 早稲田ロー2020年…

検討課題8:検討編②~結社の自由~

Ⅲ 結社の自由に対する制約 加入義務から直接来る不満を構成すると、結社の自由に対する制約として検討するのが素直な気がします。この点について、基本的な事項を整理した上で、本問の検討をしていくことにします。 1 知識の整理―結社の自由 「結社」とは、…

検討課題8:検討編①~職業の自由~

【出題趣旨】 本問は,職業の自由に対する制約,そして結社の自由に対する制約の合憲性に関する出題である。職業の自由の制約に関しては,近時,規制目的二分論に言及することなく判断している最高裁判例(最三判平成12年2月8日刑集第54巻2号1頁,最…

検討課題8:問題編~平成26年度予備試験~

検討課題8は、予備試験の中でも有名な問題。 ただ、出題趣旨がいまいちわかりにくい気がしています。出題趣旨の言いたいことに沿った検討資料を作ってみました。 予備試験の問題ですが、司法試験受験者もすべての権利を検討する形で答案構成してみるといい…

interval : ロー入試ステメンの書き方

ロー入試において、いわゆるステメンを書くのって、結構大変だったりしますよね。”ステメンの書き方”について、少し語っておこうと思います。 まず、こういうステメンを読んで、どう思いますか? 「私は、将来弁護士として働きたいと思い、○○研究室に所属し…

検討課題7:検討編④~個別具体的検討~

Ⅵ 個別具体的検討 1 目的審査 目的審査においては、まず目的を認定することです。目的の認定もせずに、重要だとか言うことはできません。受験生の中には、特例法の趣旨=特例法の目的であるとして、第1条を抜き出した人が多数いるようです。しかし、特例法…

検討課題7:検討編③~判断枠組みの定立~

Ⅴ 判断枠組みの定立 1 知識の整理―判断枠組みの定立とはなにか。 受験生に対して、「判断枠組みの定立でなにをするか」という質問をすると、「権利の重要性と制約の重大性を検討して、審査基準を決めます」と答えます。次に、「なんで権利の重要性と制約の…