J-Law°

司法試験・予備試験受験生やロー受験生のモチベーション維持のために、定期的に問題の検討をしていきます。

検討課題2:問題編ー旧司平成18年度第1問改題ー

せっかく作ったので、時間のある限り更新していきます。
あくまでも勉強・議論の材料として提供するものです。

今回は、ロー受験生だけでなく、司法試験受験生も対象の問題。
検討課題1がレベル2であるとすると、
検討課題2はレベル4かな…。

 

問題は、旧司法試験平成18年度第1問を改題したものです。

予備試験くらいの長さですが、基本的な思考を確かめるのには良い問題だと思っています!

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〔問 題〕

 現在,テレビ業界ではCMなどの広告放送による収入に頼っている側面がある。東京キー局のX局では,10年前と比べ広告放送時間を拡大し,広告収入を得ることで,近時の不況に対し,対応をしていた。特にゴールデンタイムと呼ばれる午後6時から同11時までの時間帯においては,視聴率が高いのみならず,幅広い層の視聴者が存在することから,広告放送の影響力が大きい。そのため,広告放送による営業戦略を行う販売会社は販売率が上昇する一方で,テレビ局としても高額な広告料を確保することができ,Win-Winな関係を築いていた。また,テレビ局がドラマ等の登場人物とCMのコラボをすることで,ドラマ等の視聴率を上げることにもつながっており,テレビ局と広告会社による共同制作を多数行い,広告放送の積極的な発信をする傾向にあった。

 しかし,消費者団体の一部からはゴールデンタイムにおける広告放送時間の拡大が,多様で質の高い放送番組への視聴者のアクセスを阻害する効果を及ぼしているとの意見があった。消費者団体は,かつては60分のうち広告放送はわずか2~3分であったが,現在は15分おきに約3分の広告放送が入っており,これらが質の高い放送番組を阻害していると主張している。

 このような意見を受け,国会では,多様で質の高い放送番組への視聴者のアクセスを確保するために,午後6時から同11時までの時間帯における広告放送を1時間ごとに5分以内に制限するとともに,この制限に違反して広告放送を行った場合には当該放送事業者の放送免許を取り消す旨の広告放送規制法(以下「本件法律」とする。)を制定した。この結果,放送事業者としては,東京キー局の場合,1社平均で数十億円の減収が見込まれている。

 X局としては,本件法律が制定されたことによって広告放送制限を余儀なくされ,多くの販売会社との契約を獲得することができず,20億円減収し,放送番組作成にかける予算を削減せざるを得なくなった。なお,Xは免許の取消を受けていない。

 

〔設 問〕

1 あなたがX局の訴訟代理人として訴訟を提起するとした場合,訴訟においてどのような憲法上の主張を行うか。なお,形式的観点からの検討は不要とする。

2 〔設問1〕における憲法上の主張に関するあなた自身の見解を,被告側の反論を端的に示した上で,述べなさい。

 

【参考資料】

広告放送規制法(抄)

第1条 多様で質の高い放送番組への視聴者のアクセスを確保するため,広告放送の時間への制限を定めることにより,視聴者の利益を保護することを目的とする。

 

第2条 この法律において,「広告放送」とは,他人の依頼にもとづいて周知・宣伝のために行う放送(政治的意図を有する放送を除く。)を指し,編集意図,表現の仕方などを総合的にみて,放送事業者が広告放送に該当するかどうかを判断するものをいう。

 

第4条 放送事業者は,午後6時から同11時までの時間帯における広告放送を1時間ごとに5分以内に制限しなければならない。

 

第5条 第4条の規定に違反した者は,当該放送事業者の放送免許を取り消す。

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検討材料は、後日公開予定です。

検討編①⇒https://j-law.hatenablog.com/entry/2020/05/11/010829

予定では、次の問題は、私人間効力に関するものを予定。