J-Law°

司法試験・予備試験受験生やロー受験生のモチベーション維持のために、定期的に問題の検討をしていきます。

検討課題10:検討編②~知識の整理:財産権~

Ⅳ 知識の整理―財産権 本条例3条1項は、所有権に基づく処分といての転売を禁止しています。そのため、財産権(29条1項、2項)との関係で問題になります。財産権は、国家権力に先行して存在しているわけではなく、国家によって制度の形成がなされて初めてその…

検討課題10:検討編①~条例制定権の限界~

Ⅰ 出題の趣旨 特定興行入場券の不正転売の禁止等による興行入場券の適正な流通の確保に関する法律(以下「本法」という。)が令和元年6月14日に施行されました。本問では、本法よりも過剰な規制をしようとする条例の合憲性を問うオリジナル問題です。問題形…

検討課題10:問題編~オリジナル問題~

お待たせしました! 昨年の司法試験の形で、財産権の問題いきましょう! 始めにいっておきます。これ、むずいです。 書いてほしいことはすぐわかるけど、 その個別具体的検討において、めちゃくちゃ考えなきゃいけない。 そういう意味でむずい問題です。 委…

interval : 司法試験予想問題民法【検討編】

作成当時の”出題趣旨”を掲載します。 改正民法の影響は、設問1が一番大きな影響を受けていると思います。この点については、関連条文を踏まえて検討をお願いします。他分野に渡る法律問題を問う最近の傾向の問題になります。 設問2は、代理権の濫用の根拠…

interval : 司法試験予想問題民法【問題編】

どーも。 いま、最終段階の作業がゴリゴリ来ているのと、刑裁修習が裁判員裁判というのとで、めちゃめちゃ忙しくなってしまっています。 本来であれば、財産権のオリジナル問題を出そうと思ったのですが、まだ、検討資料となる原稿ができていないので、inter…

検討課題9:検討編②~ノンフィクション「逆転」事件~

Ⅲ 大枠となる判断枠組み―比較衡量 個人の情報の公開が権利侵害にあたるかどうか、特に表現の自由(憲法21条1項)ではその判断枠組みについていくつか判例があります。いずれの判例も、表現の自由vsプライバシーという二つの権利を天秤にかけ、判断しており、…

検討課題9:検討編①~憲法上の権利の制約~

【出題趣旨】※各自で参照してください! https://www.waseda.jp/folaw/gwls/assets/uploads/2019/10/03_kenpou_2020shushi.pdf Ⅰ 入口の特定 「入口」とは、当事者の生の主張から特定された具体的自由の設定・権利と条文の選択及び違憲の対象の選択です。い…

検討課題9:問題編~早稲田ロー2020年度~

修習が完全に再開する関係で、そろそろ時間がなくなってきていますが、 検討課題10まではやりたいと思っています! さて、今回は、プライバシー関係の問題を検討課題に探していたら、 後輩から添削の依頼が来て、ちょうどよかったので…。 早稲田ロー2020年…

検討課題8:検討編②~結社の自由~

Ⅲ 結社の自由に対する制約 加入義務から直接来る不満を構成すると、結社の自由に対する制約として検討するのが素直な気がします。この点について、基本的な事項を整理した上で、本問の検討をしていくことにします。 1 知識の整理―結社の自由 「結社」とは、…

検討課題8:検討編①~職業の自由~

【出題趣旨】 本問は,職業の自由に対する制約,そして結社の自由に対する制約の合憲性に関する出題である。職業の自由の制約に関しては,近時,規制目的二分論に言及することなく判断している最高裁判例(最三判平成12年2月8日刑集第54巻2号1頁,最…

検討課題8:問題編~平成26年度予備試験~

検討課題8は、予備試験の中でも有名な問題。 ただ、出題趣旨がいまいちわかりにくい気がしています。出題趣旨の言いたいことに沿った検討資料を作ってみました。 予備試験の問題ですが、司法試験受験者もすべての権利を検討する形で答案構成してみるといい…

interval : ロー入試ステメンの書き方

ロー入試において、いわゆるステメンを書くのって、結構大変だったりしますよね。”ステメンの書き方”について、少し語っておこうと思います。 まず、こういうステメンを読んで、どう思いますか? 「私は、将来弁護士として働きたいと思い、○○研究室に所属し…

検討課題7:検討編④~個別具体的検討~

Ⅵ 個別具体的検討 1 目的審査 目的審査においては、まず目的を認定することです。目的の認定もせずに、重要だとか言うことはできません。受験生の中には、特例法の趣旨=特例法の目的であるとして、第1条を抜き出した人が多数いるようです。しかし、特例法…

検討課題7:検討編③~判断枠組みの定立~

Ⅴ 判断枠組みの定立 1 知識の整理―判断枠組みの定立とはなにか。 受験生に対して、「判断枠組みの定立でなにをするか」という質問をすると、「権利の重要性と制約の重大性を検討して、審査基準を決めます」と答えます。次に、「なんで権利の重要性と制約の…

検討課題7:検討編②~憲法上の権利の制約~

入口の特定ができたので、具体的な検討に入ります。 人格的権利説へのあてはめがちゃんとできていますか? 検討編①⇒https://j-law.hatenablog.com/entry/2020/05/30/191811 Ⅲ 知識の整理―13条後段 1 新しい人権の保障はできるのか?-13条後段の解釈【保障…

検討課題7:検討編①~入口の特定~

Ⅰ 問題の分析 慶應義塾大学大学院法務研究科(通称「慶應ロー」)2019年度の問題です。この問題を読んだ受験生は、「13条後段の問題でそれなりに書ける!」と思ったことでしょう。しかし、この問題は非常によくできていて、ちゃんと考えていないと薄っぺらな…

検討課題7:問題編~慶應ロー2019年度~

もう検討課題も、7まで来ました。 みなさんと一緒に頑張っていきたいと思います。 検討してほしい問題やテーマなどがあれば、言ってください! さて、今回は、慶應ロー2019年度です。 ※昨日は2017年度と言っていましたが、間違えでした。2017年…

検討課題6:検討編③~制度Bの検討~

Ⅲ 本問の検討2-制度B 制度Bは、保護者に投票権を与えるという制度です。選挙制度の合憲性を論じていくのは変わりないので、制度Aと判断枠組みの大きな流れは変わりありません。もっとも、制度Bの一番の問題点は、一人一票の原則に正面から違反しているよう…

検討課題6:検討編②~制度Aの検討~

検討編①で確認した知識を使ってみましょう! 検討編①⇒https://j-law.hatenablog.com/entry/2020/05/26/211438 Ⅱ 本問の検討1-制度A 制度Aは世代別に選挙区を設けるという制度です。選挙制度の合憲性を論じていくのですから、制度形成の論理に従った判断が…

検討課題6:検討編①~知識の整理~

Ⅰ 知識の整理―選挙権 1 2つの場面-権利制限の論理と制度形成の論理 選挙権[1]は、選挙制度の存在を前提とする制度的権利です。そのため立法裁量が認められます。ここで、判例を分析すると、①権利制限の論理と②制度形成の論理の2つのパターンがあることに…

検討課題6:問題編~中央ロー2019年度~

選挙権と選挙制度について考えていきます。 司法試験では出にくいですが、基本となる判例くらいは押さえておくべきです。 中央ロー2019年度の問題(下記URL)です。 この問題、正直、どう書けばいいのかわからない。 苦悩の検討資料ですが、一緒に考…

検討課題5:検討編③~個別具体的検討~

Ⅳ 個別具体的検討-立法目的の変遷を中心に 目的とは「なぜ両者を区別しているのか」という意味を表します。つまり,目的が「合理的な根拠」に基づいているかを審査しているのです[1]。緩やかな場合は,恣意的な目的でない一応の根拠があれば足りると考えら…

検討課題5:検討編②~堀木訴訟の射程を分析する~

※検討編①の続きです https://j-law.hatenablog.com/entry/2020/05/22/170053 2 堀木訴訟における判例理論[1] ⑴ 審査を緩やかにする「事柄の性質」 合理的な区別か否かの判断枠組みの定立においては,裁量の要素が影響を与えることは,明らかです。 例えば,…

検討課題5:検討編①~憲法判例の射程とは?~

Ⅰ 憲法「判例」の射程 判例とは,先例としての価値のある判断部分でした。憲法判例も他の判例と事情が変わらず,正確には,先例としての価値のある部分のみが判例です。しかし,憲法に関する判断がなされる判決は,他の法律と比べて,少ないです。厳格に先例…

検討課題5:問題編~「憲法判例」の射程~

「憲法判例の射程」について検討していきたいと思います。 司法試験本番に近いスタイルにしてみました。 ※スタイルを近づけただけで、ロー受験生も解くべきと思っています。 法学セミナーでも同様の問題はあります(今回の検討資料の参考にしています。)し…

interval:not only "memorize" but also "think"

どーも。 さすがにちょっと休憩することにします。 判例・判例の射程についての記事が想像以上に読まれていました。 みなさんの勉強の手助けとなれていたら、うれしいです。 読んで、理解して、実践して、復習する。 この繰り返しが重要ですから、問題検討ま…

検討課題4:検討編②~本問の検討~

Ⅲ まとめ-判例の射程に関する思考 前回の記事を読んで、「判例」や「判例の射程」という言葉の意味について、なんとなくわかってきたでしょうか。「判例の射程」の勉強の仕方がなんとなくわかってきたでしょうか。一度、思考の仕方を順にそって整理してみま…

検討課題4:検討編①~「判例」と「判例の射程」~

Ⅰ 「判例」とはなにか。 0 判例の意義を知る必要性 「判例は重要です。事案で使うようにしましょう。」とよく聞きますが、そもそも「判例」とは何でしょうか。問題文でも「判例に即して」と言いますが、判例をどうすればいいのか、学習を進めていくと常に疑…

検討課題4:問題編~判例の射程(民法編)~

どーも。 Intervalにしようかと思ったのですが、 司法試験の日程が決まったのもあり、司法試験に向けた問題にしようと思います。 民法の予想問題です(まじで出てもおかしくないやつ)! 単なる予想問題だけではありません。 今回の中心となるテーマは、“判…

検討課題3:検討編③~本問の検討2:司法権の対象~

Ⅳ 本問の検討2-司法権の対象 問題文に「この問題が司法権による憲法的判断の対象となるか明らかではない」と書かれています。この点についても憲法上の主張をしておかなければなりません。本問のメインは上記の通りの検討ですから先に解説を書きましたが、…